寄稿: 越崎 健司 |
| 3月19日(水) 快晴 ドゥイレットーベルベル人の作った建物クサールによる奇妙な世界 | |
タタウィンは、その周辺の町にあるクサールで有名だ。クサールとはかつて岩山に ベルベル人が作った奇妙な形をした倉庫(ゴルファ)の集まった物で、いくつかの場 所ではいまだにベルベル人が昔のままの生活をしているという。そのうちの一つドゥ イレットに乗合ワゴンで向かうと、タタウィンの町を出てすぐに景色は土の平原と岩 山に変わった。昨日は夜だったので気付かなかったが、実はタタウィンは岩山に囲ま れた町だったのだ。そして、ドゥイレットに着きカミオネットを降り、道を歩いてい くと見えてきたのは・・・。なんだこれは・・・。本気で異世界に来たと思った。岩 山の上に岩の城のような建物があり、中腹にはまさに岩山と同化した家や倉庫らしい 建物がある。麓から見上げると頂上の城は文字どおりそびえ立っている。どうしても 城に行きたくて山の中腹を辿っていき、苦労したあげくに2時間近くかけてやっと着 いた。ところが、間近に見るとまさに倉庫の集まりクサールで(クサールは城として 使われた時期もあったそうだが)、しかもかなり崩れてしまって通路が瓦礫で埋まっ てしまっていた。 麓まで降りると英語の話せる人に出会い、話すと、彼はオリーブ油を作っている所 に案内してくれた。岩壁の中のほら穴のような空間では、一人のおじいさんが黙々と 働いていた。彼らはベルベル人である。私は、ベルベル人、なんて聞いて勝手なイメ ージを作っていたが、見た目はチュニジア人と変わらない。かつてここにいたベルベ ル人の多くが近くにできた水も電気もある新しい町に移り住んでしまい、彼らのよう にここに住み続けている人は今では少なくなってしまったそうだ。おじいさんは馬に 大きな石臼の上を転がる石を引かせてオリーブを潰している。この潰したオリーブを 圧縮するとオイルが出てくるのだ。馬には目隠しがされていたが、それは時間を分か らなくして馬がいつでも働くようにするためだそうだ。真っ暗闇の中でたたかれて歩 くのの繰り返しでその馬の一生は終わっていく。馬に生まれなくて良かった・・・。 ドゥイレットからタタウィンに戻る方法は乗合ワゴンしかない。ところが乗合ワゴ ンが来るという時間になってもやって来ない。さすがにこれはしゃれにならない。荷 物はタタウィンのホテルに置いてきたし、だいいちここには宿なんてないから、絶対 に戻らないといけないのだ。とはいえもう夕方だから、今から20km近い距離を歩いて 帰ったら途中で暗くなってしまう。困り果てていると、なんとそこにいた人が郵便局 の車に話を付けてくれてその荷台に乗せてもらえることになった。助かった・・・。 ところが、喜んだのもつかの間、走り出してすぐに私は土の平原の真ん中で降ろされ てしまった。標識を見ると「ドゥイレット5km、タタウィン16km」冗談じゃない。16 kmなんて歩けない。ついに本当のヒッチハイクをすることになった。こんな所で真っ 暗になったらそれこそしゃれにならない。しかし、世の中良くできたもので数分でト ラックが通り私をタタウィンまで運んでくれた。持つべきものは運、だ。こういうラ ッキーなことがあると、いやなことを忘れ、全てが順調な気になる。チュニスで痛め て引きずっていた足がいつの間にか治り、体調も回復し、気分は最高だ。 チュニジア旅行時、1TD(チュニジアンディナール)≒ 113円 、$1≒ 124円。時差 は8時間。 次へ |
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